結局のところ宅建試験とは何なのか
宅建試験合格者のマエダユウタです。
新たなネタも出ず、この時期に宅建試験の事を本気で考えているという人もそんなにはいないでしょうから何とも宙ぶらりんな状態になってしまっているので、ここで一度まとめてみようと思います。
今後もコンテンツは順次追加しますが、一応宅建受験記の区切りとして。
「宅建試験合格」とは
不動産の取引において「重要事項説明」などの独占的業務を行える
「宅地建物取引士」
という資格を取る資格
を有することを意味します。
宅建試験に合格すると、即座に宅地建物取引士(以下、宅建士)を名乗れるわけではなく、宅建士になるための所定のステップを踏む資格がある状態、というのが宅建試験合格、という状態です。
宅建士の免許は更新する必要がありますが、宅建試験合格という「資格」には有効期限はありません。
宅建士制度が設けられている主旨
不動産、というのは人々が購買するありとあらゆる「モノ」の中でトップレベルの金額がつくものの一つです。一生で一番高い買い物は家とか言ったりしますよね。
一番高い買い物は嫁に決まってるだろうが
そんな高額な不動産、多くの人にとってなじみのない物であり、不当に高く一方的に知識や情報を持っている業者が不当な取引を持ち掛けやすくなっている市場でもあります。
そんな市場から、国民の利益を保護するために、専門知識を持った資格者が取引に介入する必要がある、ということで設けられている資格です。
そんな重要な資格なので、試験で難しい問題が出て、資格者を絞ると
資格は就職・転職や業務において、どのように有利に働くか
勉強を始めてみて、不動産業界に従事している営業マンが意外と資格を持っていない、ということに気が付きました。
アタリマエですが、資格がないと営業をしてはいけないわけではありません。
ただし、実際の契約の段階では、宅建士の資格を持った従業員が記名捺印した書面をもとに、重要事項の説明を行う必要があります。
つまり、宅建士の資格を持っていると、営業フローが自己完結できるし、もっていなければ持っていないで、別の資格者と連携すれば活動できる、ということ。
ちなみにこの記名捺印や説明を行う宅建士は同じ業者に所属していれば営業である必要はありません。普段経理で、契約の時だけ出てくる、とかもありです。
また、宅建業者は従業員の5人に1人は宅建士を雇用している必要があります。
逆から言うと、1人宅建士を雇えば、資格持ってない人をあと4人雇っていいということです。他業種の凄腕営業マンとか。
したがいまして、宅建士の資格というのは業界において業務を行う上で有利なだけでなく、ただ資格持っているというその事実だけでも相応に重宝されるのです。
業界の中では、宅建士の資格取得のために会社が補助を出すこともあれば、取得した際の奨励金や、月々の特別手当、といった形で、知っている限り最大で3万円/月お給料が増えたりします。
つまり、宅建の取得が1年遅れる、ということは36万円の機会損失、とも言えます。
合格者=プロなのか?
いきなり結論だが、もちろんそんなことはない。大事な資格だからこそ、難しい試験で足切りをし、合格者、資格保有者が優遇される。
それ自体はいいんですが、やはり実態としては試験は試験、現場は現場です。
僕のようなポッと出の駆け出し不動産投資家が、なんかの拍子に2か月で受かる一方で、
この道一筋十数年、実務の上では能力的にも人格的にも素晴らしい、上場企業の部長クラスの方が、試験では冗談みたいな点数を取って、未だに資格を持っていなかったりするわけです。(忙しくて勉強に時間割けないんでしょうけど)
僕の方が「宅地建物取引士試験」というペーパーテストで点を取るということは得意ですが、実務における知識、経験、能力は、アタリマエですが、そういった方々と僕の間のレベルは「象と蟻」、どころか、「象とアメーバ」とかくらい差をつけられています。
試験の点が取れることと、実際の業務に必要な知識を備えていることは全く別の事象です。
繰り返しですが試験は試験、現場は現場です。
一つだけ、客観的なデータを挙げておきましょう。
もう一つだけ、この試験が行われる裏の意図を邪推してみましょうか。
皆さんの大好きな、「客観的なデータ」から。
宅地建物取引士試験は年に1回だけ行われる試験です。
その受験者数は年々増加傾向にあり、
僕が合格した2017年度は258,511人
でした。
そして、宅建の受験費用は7,000円です。
285,511×7,000=?
じゅうきゅうおくきゅうせんはっぴゃくごじゅうななまんななせんえん
です。もちろん試験の作成~実施~合格発表まで、諸々の経費がかかるでしょうからまるまる利益ではないですが、そこまで原価のかかるものでもないはずなので利益率どないなんでしょうね?
まとめ:割り切るものは割り切る。取った方が有利なら取ればいい。
勿論、制度の趣旨には賛成しますし、そのためにハードルを課すのも当然の行為。ただし試験に合格したらといって、現場を知り尽くしている専門家であるとは限りません。資格なくったって、業務の知識が豊富な方は沢山います。
そして、決して安くない受験料に、増え続ける受験者。
もう、そういうもんだと割り切るしかないですよね。
だからって、資格の取得をボイコットすることになんの意味もない。
なくったって、業界で活躍することは出来るし、あったらあったで色々と有利に活かすことは出来ます。
そういったものだということを理解した上で、本気で取るのか、別にとらなくていいと考えるかは各人によるものですね、という分析を結論に替えさせていただきます。